2025.02.26 WED
北海道の十勝総合振興局管内の最東端に位置する浦幌町をご存知でしょうか。
人口4,095人(2025年1月31日時点)という、自治体の規模としては必ずしも大きくはない浦幌町。
その地域では今、町役場や地元のキーマンそして若者を中心に、これからのより良い社会づくりへの機運が高まりつつある。
そのような背景もあり、「うらほろ未来づくり会議2025」と題した、まちづくりの未来可能性を探索するワークショップが、2025年2月24日に町民70名近くが集まり開催された。
今回はそちらの様子を通して、自律社会づくりの動きの一つとしてご紹介したい。
会議の冒頭、浦幌町長・井上亨氏より、「浦幌町の現状と課題、目指したい未来像」が述べられた。
その中では、浦幌独自の教育プログラム「うらほろスタイル」の活動が18年目に突入。また、「うらほろマラソン」はじめとするスポーツを通じたまちづくりへの注力。さらには、農業インターンの受け入れや、修学旅行でのアクティブラーニング機会の提供など。
浦幌町は東京23区より少し広いエリアを行政区としながら、そこには人を受け入れ、育む素地のある地域ということが強く伝わってくる。
地域の持続可能性を考えていくにあたり、その動向を左右する次世代の人づくり。それは地域に住まう人だけでなく、浦幌町との関わりをもつ関係人口を含めた対象の幅をいかに広げていけるかが鍵を握る。 そういう意味では、浦幌ユニークとも呼べるこれら活動の数々が、この先の地域づくりの強みになっていくはずである。
もう一つ、浦幌町の特徴を挙げると、未来志向に共感・共鳴する町役場、(一社)十勝うらほろ樂舎のキーマンが多く顔を揃えていることではないだろうか。
今回、町側の話題提供を受けた後、(株)ヒューマンルネッサンス研究所代表取締役社長・立石郁雄氏より、「SINIC理論、自律社会」について紹介がなされた。
なかでも、SINIC理論が示す2025年を元年とする自律社会では、多様な価値観が生まれてくる時代であることが強調された。
それは従来の単一な価値観のみで競う世界から、自分自身や地域・企業などそれぞれの価値軸で判断・行動し、共生スタイルを築いていく世界への変化として説明された。
また島根県北部の隠岐諸島にある海士町を例に、未来の地域づくりには“若者”、“よそ者”、“バカ者”という視点から多様な価値観を採り入れていける可能性が言及された。
浦幌町では、若者の町へのUターン、あるいは20代の移住者の増加が最近顕著になりつつあるという。
そうなると、今後は“バカ者”と呼ばれる層の取り込みにより、これまでとは違った価値軸をいかに持ち込めるかが地域の注力ポイントともみてとれる。
今回は会議という名称であるもののワークショップスタイルを採用し、参加してくださった住民の方々のアイデアもプラスして、自律社会づくりへの第一歩としていくことが念頭に置かれていた。
みなさんからの対話やワークを通した発表では、次のような声を聞くことができた。
●住民の「得意」や「好き」を知り合うことができると、それを繋げてこんな実践ができるのではという楽しい妄想がどんどんと生まれてくる
●住民同士の「得意」や「好き」をきっかけに頼れる先を増やしていくことで、共助でつながり合う社会が実現可能になるイメージがもてる
“まちがまちのみなさんと、豊かに在り続ける未来”とは? そんな問いかけのもとに設けられた場を通して、あらためて、ひとり一人が自分ごととして浦幌の未来へ想いを馳せる特別な機会になったのではないだろうか。
引き続き、浦幌町でのネクストアクションに注目しつつ協働の輪を広げ、自律社会をたぐり寄せていきたい。