2024.02.20 TUE
1月初旬大分県別府市において、オムロン太陽、日揮パラレルテクノロジーズ、ヒューマンルネッサンス研究所の3社による交流機会をもちました。
今回は、障がい者雇用の促進と安定を図る特例子会社である、オムロン太陽と日揮パラレルテクノロジーズという両社のメンバーと共に、2025年に到来するとされる“社会全体の豊かさと、自分らしさの追求が両立する「自律社会」”について考えていきました。
オムロン太陽は、「障がいのある人の採用」と「事業継続に向けた利益」という2つのこだわりのもと、日本初の障がい者福祉工場として1972年に誕生した事業会社です。
創業から現在までの50年余りを経て、今なお進化を続け、障害の有無にかかわらず働くことができるユニバーサルなものづくり(“ユニもの”)の実践を進めています。
その具体的な取り組みについては、SINIC.mediaでの以前の掲載コンテンツをぜひご覧いただければと思います。
※「オムロン太陽の場を通じた⾃律社会への共創取組【後編】」
一方、日揮パラレルテクノロジーズ(以下、JPT社)は、創業から4年目のIT技術を軸とした業務を行う事業会社です。特例子会社の界隈においては、まさにベンチャー企業と言っても過言ではありません。
実際、JPT社ではマネジャーもスタッフも若い世代で構成され、時代の変化に先駆けた就業規則・人事制度を導入するなど、柔軟な働き方を可能にする組織運営が特長的です。
たとえば、「どこから働いても良い。出社義務なし」、「いつ働いても良い。コアタイムなし」、「納期なし。途中でギブアップしてもいい」といった働く上での取り決めは、“こうすれば働ける”という働き手の希望に応えていくものになっています。
このような組織運営について代表取締役社長の成川潤さんにお話を伺うと、「一般的な企業では規則や制度が障壁となってしまい、働き手の希望に応えきれていない。それならば、JPT社ではこうした規則や制度を極力無くす“引き算”を行い、障がいを抱える人々が働ける機会をより多く提供していきたい」という言葉が返ってきます。
JPT社のミッションにある「障害の有無に関わらず、全ての人が対等 “Parallel” で、社会的意義を感じながら持てる技術”Technologies” を発揮して働ける社会の実現」に向けた有言実行の姿が実感をもって伝わってきます。
特例子会社という共通点はあるものの、組織の設立年代や業種をはじめさまざまな違いのある2社。今回、JPT社からは9名ものメンバーが別府の地を訪ねて、オムロン太陽メンバーとの交流と対話を重ねました。
特に、JPT社ではこれからの未来を担うM/Z世代が大半を占め、そうしたメンバーと一緒に太陽ミュージアム、そして、オムロン太陽という現場のリアリティに触れる中で、これまでの障がい者雇用を取り巻く変遷を共有し、この先への意見を交わせたというのは、今回の2社の顔合わせだからこそ成し得たに違いありません。
ここで、JPT社のメンバーからのコメントをいくつかピックアップさせてもらいます。
「JPT社は特定のオフィスを持たないため、オムロン太陽では、皆さんの力で製造現場が綺麗に維持管理され、気持ちよく働ける環境づくりがなされていることが印象的でした」
「働くメンバーがお互いのコンディションを共有し合うということに、人と人とのつながりや人間性が伝わってくる素敵な取り組みだと感じた」
「障がいといっても多様であって、オムロン太陽のようにいろんな人がいる環境で一緒に働けることが、他者への配慮や理解につながるということがよく分かった」
上記に呼応する形で、オムロン太陽のメンバーからは、JPT社の「納期なし」という働き方へのコメントがあり、「重要であるが緊急ではないという仕事に目を向けることは、これまで行ってこなかった」という声が上がるなど、互いに日頃とは異なる刺激を感じ取り合う場となりました。
今回の機会では、オムロン太陽だけでなく、三菱商事太陽、ホンダ太陽へも伺い、それぞれの取り組みに間近に接して多くの学びや気づきにつながったとの声が寄せられています。
※日揮パラレルテクノロジーズ公式note「障害者雇用発祥の地、別府へ」
あらためて、バックグラウンドの異なる2社が交わった今回の場。
オムロン太陽は、障がい者雇用率制度(法定雇用率)が法的義務となった1976年より以前に創業され、日本初の特例子会社として現在も進化を止めることなく、毎年多くの見学者を迎え入れるなどパイオニアとしての役割を担い続けています。
片や、日揮パラレルテクノロジーズは創業4年目。成川さんからは「企業が障がいを抱える人の働く機会を創り出すことで、人手不足という社会課題すら解決していける」という意欲的な声が聞かれ、障がいがあろうともITスキルをもつ人材を中心に活躍の場を着実に広げつつあるフロントランナーとして映ります。
こうした違いはあれども、両社が見据えるよりよい社会像というものは重なる部分が少なくなく、今回のような越境体験による知の交わりをきっかけに、障がい者雇用をはじめとするこれからの自律社会づくりへの共創の一歩につながればという期待がおのずと高まっていきます。
なお、ご興味を持ってくださった方は、ぜひ一度オムロン太陽に足を運んでみてください。